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――その2か月前――
「ねー、クリスマスくらいふたりきりですごそーよ。」
私は電話に向かってそう言う。
「クリスマスかぁ…。」
「だって、去年のクリスマスだって一緒にいられなかったじゃん。」
私は少しさびしそうに言った。
「…わかったよ。今年は2人で過ごそう。」
「ほんとに? 嬉しい☆ やっぱ、こーたは優しいな。」
こーた――矢崎浩太。私の彼氏。去年の春から付き合ってる。
私――工藤 那月。
私たちは、ごく普通の高校2年生。
普通の公立の高校に通ってる。
いつもの、ありふれた日常のなかで生きていたこの時の
私たちには、その後に待ち受けている未来を想像することなんて
なかっただろう…。
あんなにも、辛くそして悲しい現実を…。
「こーたぁ!! ここっ!!」
私を手を振ってこーたにアピールする。
いつものように校門の前でこーたを待っていた。
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