2人が本棚に入れています
本棚に追加
「ううん、あそこは先週いっぱいでやめた」
「まぁ、どうして?」
「なんかイマイチなんだよ、講師が。アルバイトの大学生ばっかでさ、なめてるよね。
東京の有名な進学塾のチェーン店っつーことで、
飯能の方からわざわざ電車で来るヤツもいるんだけど、
ありゃ完全にサギだ」
堵梶祐輔はドラマの登場人物のように首をすくめた。
バカ殿の真似ばかりしていた子がいつの間にこんな大人びた仕草をと、
亜希子は少々戸惑いを覚えた。
身長もいつの間にか自分より高くなっている。
「じゃあ今は他の塾に?」
亜希子はなんとなく気まずさを覚えながら尋ねた。
「ううん、新しいとこは新学期から行く。
急なことだったんで、
春休みの講習は間に合わなかった。」
「今度はどこなの?東京ゼミ?」
「ううん、大学進学会」
「大学進学会?」
「去年できたとこ」
「聞いたことないわ。
駅前のデパートの近くよね?」
あの辺りは進学塾が集中している。
最初のコメントを投稿しよう!