2人が本棚に入れています
本棚に追加
「もうっ、ムカつくー」
亜希子が女子高生のように悪態をつくと、オウム返しに声がかかった。
「ムカつくー」
祐輔だった。門の脇から顔をのぞかせニヤニヤ笑っている。
「ホント、ムカつくわ。
ムカつくムカつく」
恥ずかしさを塗り隠そうと、亜希子は何度も繰り返した。
「ねぇ、おばちゃん、真吾君はいる?」
「遊びにいってる」
「じゃあ、これあげといて」
祐輔は門扉の隙間から何やら差し出してくる。
亜希子はバッグの中身はそのままにして彼に近づいていった。
「まぁ、M2カードじゃない。いいの?」
マイスターマジックという人気アニメのカードだった。
それが何十枚と束になっている。
Meister Magicと頭文字がMの単語が2つ続くのでM2と略されている。
M2カードは、カードの表にアニメの登場キャラの絵が印刷され、
裏にはそのキャラの名前や特徴が記されている。
五枚入りのパックが200円という、昔でいうなら
駄菓子屋で売っていたプロマイド程度のオモチャだ。
ところが子供たちはみな、男も女も関係なく、このM2カードの収拾に目の色を変えている。
最初のコメントを投稿しよう!