2人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
※ ※ ※
「ずっと聞きたかったんだが、お前はなんで死神になったんだ?」
「そーゆーの聞くタイプじゃないくせに」
森の木々の隙間から見える星空を見ながら不意に語りかける。
オルクスは死神だ。誰よりも死神らしい死神だ。
狂気と暴力の塊。
戦場を駆け回る様を目の当たりにすると驚嘆する。
情の一欠けらも感じさせない強さ。
躊躇をする暇すらないのだ。
それらの根源は一体何なんなのだろう。
どうしてそこまで非情になれたのだろう。
自分以外の者が。
ハーディスは思う。
「言いたくないなら無理には聞かない」
オルクスはしばらく考え、小さくつぶやく。
らしくないな、ハーディスは考えていた。
「唄をもう一度――いいや、人間が憎いから。人間に私が味わった苦しみを味あわせてやりたいから。すごく単純でしょ?」
「……唄ってなんだ?」
オルクスは立ちあがって、空を見る。
長い話になることは予想が付いた。それに楽しい話ではないことも。
オルクスはくるりと振り向いて、ハーディスはの前に腰を落とす。
「長いよ?」
オルクスは明るい楽しそうな声で言う。それにハーディスは無言で頷いた。
最初のコメントを投稿しよう!