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序章-『アイツ』との出会い-
時は七月。天候、雨。僕が歩く大きな交差点には、沢山の色とりどりの花が咲いている。花と言っても、それは行き交う人間達が持っている傘のことである。
幾ら夏と言えど、街の人々の露出が多すぎると感じるのは僕だけだろうか。腕出し、肩出し、胸出し、脚出し、臍出し、背中出し。そりゃあ七月だから暑くて仕方ないのだろうけど、ここまで来ると露出狂の次元まで達しているようにしか思えない。
そう思っているのは僕だけではない筈だ。きっと、そうだ。
ふと前方に視線を戻すと、これまた過激な露出をしたカップルが歩いて来る。女の方はともかく、男の下品な『腰パン』とやらはどうにかならないのだろうか。見たくもない男の下着を見せられる僕の身にもなって貰いたい。
なんてことを考えながら例のカップルと擦れ違う。そしてそんな僕に、カップルは下品な笑い声を立て、屈辱的な気持ちになるとんでもないことを言い出すのだった。
「ちょっとケイ君ー、今の黒尽くめ見たぁ? 夏なのに肌見せしないとかー、マジダサくなぁい?」
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