プロローグ

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「それで、捕捉までどれだけかかるのかね?」 振り向きざま、初老の男が尋ねる。言葉に焦燥を織り交ぜながら。 しかし若い男は我関せず、といった顔で 「さあ……そればかりは予想ができませんな、私の能力の範囲外ですから」 そう答えるだけだった。彼はこの状況を内心愉しんでいるようにも見える。 「なんにせよ、早急なる発見を、でしょう? 事の重大さは理解してますよ。 それでは、仕事に戻らせて頂きますよ」 ひらひらと右手を振りながら、彼は部屋を出た。 ふん、ふざけおって―― 歯噛みする初老の男には彼を黙って見送るしかなかった。
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