始まりは既にいつからか

15/29
前へ
/37ページ
次へ
ちょっと待てよ会長っ。なんでイキナリそんな…。 「よし、今から既成事実を作りに…」 「らめぇぇぇぇぇッ!!?」 部屋を出て行こうとした会長を後ろから抱き着いて止める俺。意外と大胆。 「…やはり私か?このロ…」 「犯罪ですからねッ!リアルは犯罪ですからね!」 そして今度はコブラツイスト。すげぇ、隙がねぇ。 「ふはははははッ!よいではないか!好いた女を力ずくで我が女(モノ)にするのは悪い事ではないぞ、陽ちゃん!!」 それも犯罪ですって!人権を考えて物事言ってくださいよ! 「あのですね、会長」 「七奈と呼べ」 「だが断る。そんなイキナリ一線を越えろだの、自分の女にしろだの、俺はそんなつもりありませんって」 「なんだ。昨日のあの溺愛ぶりは嘘なのか?」 「いえ、嘘じゃありませんが……どちらかと言えば、あれは家族愛…なんだと思います」 また曖昧な。こんな言い方だから食い下がれるんだよ。 「家族愛、とな?」 「はい。俺が物心ついた頃から翠と一緒に居るんで。…確かに、ときどき可愛い仕草にドキッとはしますが、やっぱり兄弟みたいな感覚ですよ、俺的には」 そう。確かに翠は可愛い。猫以上だ。 だが、恋愛の……好意を寄せる対象として見ているかと言われると、少し考えてしまう。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加