始まりは既にいつからか

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浜辺で遭遇した天使こと立花希沙は自慢のネタを言い終えてホッコリとしたあと、トテトテと俺達に寄って来て 「……抱っこ」 と、両手を上げて抱っこをねだって来たのであった。 「いやいやいや希沙?お前は何歳だ?16だろ?」 「…まだ15さい…」 「変わらんわ。その歳で他人に抱っこしてもらうのは、さすがに恥ずかしいだろ」 「………陽だから恥ずかしく、ない…」 「問題ありっ!」 まさに天然の天使。 考えた事は即実行、出来ない事でも挑む無謀さ。 空気は読まず、ただ己の心を語るだけ。 まさに希紗。 好きな事は大好き。 嫌いな事は大嫌い。 やりたい事をただひたすら貪欲に行い続ける。そしてそれを可能にする才能と容姿。 まさに天は二物を与えたの言葉が似合う娘だ。 「……陽……翠ちゃんと、でーと…?」 話しの唐突な切り替え方もなかなか侮れない。 ただのKYなだけだが、それすら希沙の武器になる。 「ま、まあそんな感じだ…希沙は?」 翠が隣でボフッと赤くなっているのがわかった。 「………私は…………」 と、そこで希沙は頭上に大量のハテナマークを作った。 まさかだが希沙。お前は俺を見掛けたがためにここに来たとでも言うのか?しかも無意識のうちにか? 「………陽が…いた、から」 当たっちまったよおい。当たるとは思わなかったよおい。 まあ無意識なら仕方ない…か?
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