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「そうだ、花火大会。
美しい砂浜に美しい夜空。それを彩るは色彩豊かな火の花。
なかなか風流だと思わないか?陽ちゃん」
さりげなく腰に手を回して来る会長をあしらい、適当に相槌を打つ。
「会長、風流なのはいいですよ。でも一人の男が沢山の女の子を連れて見ていては、風流も何もない気がしません?」
「しません」
ですよね~、とは引き下がらないのが今の俺だ。
何としてでも翠と一緒に……
「翠ちゃん花火一緒に見に行こう。てか私とひと夏の想いに身を焦がさない?
てかや ら な い か ?」
花このテメェェェェェェ?!
俺の癒しを、オアシスに平気で砂をかけやがって!
「……陽、わたしと…見る」
「いやいや希沙。ここは私が陽くんと見に行くべきだと、千秋さんは進言してみるよ!」
「何を言うか恥女共が、陽ちゃんは私とギシギシアンアンしながら見たいと」
「絶対会長とは行きませんからね!!そんなはしたない娘とは行きたくありませんから!!」
「誰がうまいことを…」
「言ってませんから!まったくうまくありませんから!!
あぁもう、何でこうも上手く行かないんだよ…」
うなだれる俺を気遣う癒しのオアシスはない。我がオアシスは枯渇した。
会長が女子組を集めて、どうやら浴衣に着替えるらしい。
浴衣かぁ……母さんの浴衣姿は素直に綺麗だって思えるなぁ…。
まあ当たり前か。父さんがわざわざ選抜して決めた浴衣なんだから、母さんに似合わないハズがないか。子供物だけど。
花は普通だ。何を着ても。
千秋はスパッツとタンクトップが似合う。アスリート系だから。だが浴衣姿も見てみたい。
希沙は落ち着いた色合いなら大体が似合う。
会長は……知らぬ。
だが翠の浴衣姿は過去に一度見たことがあるが、あれは素晴らしかった。
花も一緒だったが、縁日に屋台巡りをした時なんて、擦れ違う人のほとんどが振り返ったほどだ。
可愛い女の子に可愛い物を着せると、それは最早兵器となる。俺だったらヘッドショット余裕だな。
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