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キャッキャと騒ぐ女子勢を脇目に俺は一人ベランダに出る。
そこからはビーチを一望できる空間があり、幾つかの椅子とともにバーベキュー用のテーブルもある。
スペースとしてはあまり広々とはしていないが、落ち着いた空間ではある。
ま、ただ俺があの甘い空間に入って行けないだけであって、ここがパワースポットとかなんとかではない。
それにここに入れば、夜空が綺麗に見上げられる。
夏の第三角と言えばデネブ、アルタイル、ベガだっけか。どれがどれだかわからんし。
未だに星空を見て一番最初に探すのはオリオン座だ。それ以外はわからない。
『陽ちゃん、お星様を見たら、願い事をちゃんとするんだよ?そうすれば、きっといつか必ず叶うから』
母さんに昔から言われている言葉だ。
星に願いかければ夢が叶うなんて、メルヘンチックな母だとは思っている。
でも今は、少しそれを信じともいいかもしれない。
翠…たった一人の女の子と一緒に過ごせるようにと、自然て願ってしまう。
それほど翠の魅力は俺を揺さ振ってるってことか。
「……お兄」
すると突然、横から翠の小さな声が聞こえてきて、俺は飛びのきそうなくらいビックリした。
「翠、どうしたんだ。浴衣、話し合ってたんじゃないのか?」
翠は優しく微笑むと
「お兄に、選んでほしい…」
と、照れ臭そうに頬を赤く染めて、消え入りそうな声で呟いた。
それにはドキッと心臓が跳ね上がった。
ヤバいくらい、可愛くて清楚でしおらしい女の子がここにいた。
今なら言える、この一言。
惚れてまうやろぉぉぉぉぉぉッ
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