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「とんでもない。こちらこそ、ハルの元へ帰ってきてくれて、ありがとう」
小さく微笑んだ坂木さんは、視線を千春に合わせると、
「明日は元々オフだ。どうする?」
真剣な表情に変わった。
「暫く…」
それだけ千春が言うと、坂木さんは大きく頷き、
「出来るだけ取れるようにする」
ジャケットの内ポケットから携帯を取り出すと、手にしていた分厚い手帳を開いた。
そして、
「おめでとう」
ハルの頭を掻き毟るようにひと撫ですると、参列者の為の椅子に腰をかけて、携帯を耳に当てた。
暫く…って何?
出来るだけ…ってなんの事だろう?
小首を傾げて考えてみても、私には分からない。
仕事の事だよね?
明日はお休みなの?
携帯で話を始めた坂木さんから千春に視線を戻すと、千春は瞳を細めて、柔らかく微笑みながら私を見詰めていた。
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