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しばらく桜花を呼び続けるとやっと桜花が姿を現した。
トモヤはホッとして桜花に声をかける。
「桜花……心配したよ。君がいなくなっちゃったんじゃないかって……」
「ごめんなさい……」
しょんぼりとうつむいてしまった桜花にトモヤは慌てた。
桜花を落ち込ませるつもりはなかったのだ。
「元気ならいいんだ。キツイ言い方しちゃってこっちこそごめん」
「ううん。私が……」
しばらくお互いに俺が、私が、と言い合っていた二人だったがどちらからともなく笑いだした。
楽しそうな笑い声が祠に響いていた。
ひとしきり笑った後、トモヤは思い出したかのように桜花に問いかけた。
「でも本当に心配したんだよ。何かあったの? 」
「……」
黙り込んでしまった桜花を怪訝に思いもう一度問う。
「本当にどうしたの? 」
嫌な予感がした。
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