春の約束

3/11
前へ
/31ページ
次へ
しばらく桜花を呼び続けるとやっと桜花が姿を現した。 トモヤはホッとして桜花に声をかける。 「桜花……心配したよ。君がいなくなっちゃったんじゃないかって……」 「ごめんなさい……」 しょんぼりとうつむいてしまった桜花にトモヤは慌てた。 桜花を落ち込ませるつもりはなかったのだ。 「元気ならいいんだ。キツイ言い方しちゃってこっちこそごめん」 「ううん。私が……」 しばらくお互いに俺が、私が、と言い合っていた二人だったがどちらからともなく笑いだした。 楽しそうな笑い声が祠に響いていた。 ひとしきり笑った後、トモヤは思い出したかのように桜花に問いかけた。 「でも本当に心配したんだよ。何かあったの? 」 「……」 黙り込んでしまった桜花を怪訝に思いもう一度問う。 「本当にどうしたの? 」 嫌な予感がした。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加