ある晴れた春の日

2/7
前へ
/31ページ
次へ
首からカメラを下げたひとりの少年が自転車を漕いでいた。 少年の名は春風友哉(ハルカゼ トモヤ)。 先日中学校を卒業したばかりの15歳。 趣味は写真。 好きな物は写真と花。 嫌いなのは……人と関わること。 少年、トモヤは少し長い春休みを満喫していた。 毎日自転車に乗って様々な場所を回り、写真を撮る。 トモヤにとって何よりも楽しい時間。 本日晴天!!いい写真日和だ!! そう思いながら自転車に乗り風をきる。 最近まで通っていた中学校の裏にある山に登るつもりだった。 トモヤのお気に入りの場所である。 山を少し登ると寂れた祠がある。 祠の周りでは様々な花が一年を通して咲いていた。 この時期はなんといっても桜が綺麗に咲いている。 今年は桜が咲くのが早く、既に満開だった。 毎年トモヤは桜の蕾がついた頃から花が散るまで山に毎日通い続ける。 毎年春になると山に登るのが、トモヤの日課だった。 雨の日も曇りの日も毎日毎日通い続け、写真を撮り続けた。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加