Real

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11話目 思想型"幻覚" 「琴音。はよせんか」 琴音隊長は近くの木陰で寝ていた。 その光景を見ながら総長が行動を促すように琴音隊長を呼ぶ。 「ぷっは。君難儀なやっちゃなー。ワイが相手とかかわいそすぎやわ」 関西弁を話しながら木陰から出てきた。 "ぷっは。"とか個性的な笑い方をする人だ。 「ワイは光流や。歳近そうやし呼び捨てで構わへんで、新」 この世界には、年齢がない。 みんな見た目や死亡年齢などを参考にして上下関係を造っている。 「じゃあ、光流で」 「よろしゅう」 手を握りあう。 「対戦はこの特別な術式でつくった異空間で行う。両者ともよいか??」 「…はい」 「ワイは何でもええよ」 その後、僕と光流は異空間に入り対戦が始まった。 ぱんっ、ぱんっ。 「じゃあ、はじめよっか。新」 光流が鳴らした二つの"手拍子"で僕は少し間合いを取った。 相手のメモリー能力何かわからない以上、迂闊に手出しはできない。 メモリー能力には3種類ある。 人や物に被害を加えたり、攻撃ができるメモリーを超攻撃型。 12軍勢のほとんどがこの型だ。 現世で超能力とされるものや、潜在能力などのメモリーを思想型。 おもに医療に関わるメモリーを治癒型。 僕のメモリーは超攻撃型。 「ちょっと戦い方変えへん??」 「戦い方を??」 「せや。ワイ、痛いのとか嫌いやからな」 どんな理由だよ。 「ワイが今から新を拷問する。それを30分間堪えたら合格や」 ぱんっ。 また"手拍子"。 すると光流の後ろに大きな時計が現れた。 「種明かし先にしとこーか」 ぱんっ 時計の針が動き出した。 光流がまた"手拍子"をする。 「ワイの能力は思想型"幻覚"。」 「幻覚…」 ぱんっ 次の"手拍子"で透明だった異空間が真っ黒になる。 「発動条件は幻覚の対象者、つまり幻覚をあてたい奴に自分の"手拍子"を聞かせる」 ぱんっ 「千秋…??」 "手拍子"で目を閉じた千秋が光流の隣に現れた。 「安心し。偽物やから」 寝ている千秋を殴る光流。 しかし光流の拳は千秋の顔面を貫通した。 「ささ。はじめようかい」 こうして幕があがる。
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