Real

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「死刑判決を言い渡す」 僕は一体何がしたいんだ?? 序章 Styx 三途の川 「はい、これ君の」 僕の名前は安藤 新。 今"ここ"にいる理由がわからない。 そもそも"ここ"がどこかもわからない。 あたりが真っ白な一室。 窓がなくあるのは黒の出入口のみ。 室内には 僕同様少し汚れがかった薄着物を着た人達と、 真っ黒な軍隊っぽい服を着た人達がいた。 薄着物を着た人達は、みんな紙切れを手にして出入口にむかって並ぶ。 『安藤 新 12月地区 処刑』 処刑…………。 僕は無罪なのに処刑されるのか?? 紙切れに書かれたその二文字が僕を不安にさせた。 「あ、あのっ」 今の状況をもっと知りたい。 前にいる僕と歳があまり変わらない容姿の人に話し掛けた。 「な、なななんですかっ!?」 かなりびっくりしてる。 第一印象は、気弱な男の子。 紙切れで顔を隠しながら振り向く。 「ここって、どこですか??」 「あれ??君知らないの」 彼は不思議そうに僕に話す。 「ここ、三途の川ですよ」 にこやかに笑う彼の言葉が僕の頭を殴る。 「僕たち死んでるみたいですよ?? 黒の服の人達に教えてもらいました。 現世から"こっち"に来るときに自分の記憶が一般的常識以外全て消えるから 俺もわかんなくて、最初聞いた時は焦ったよ」 苦笑いをもらしながら頬をかく。 記憶がなくなる?? 彼の話が本当なら僕はすでに現世死亡しているのか。 ……死亡理由がわからないのはそのせい。 「君は何月地区??」 「12月地区」 「一緒だっ!!」 彼は自分の紙を見せてくれた。 『真田 千秋 12月地区 自殺』 自殺……………。 現世での記憶がない彼から自殺理由を聞き出すことはまずできないだろう。 こうして僕らは向かう。 "死後の世界"へ。
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