Real

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4話目 霧島 明日那 「やめろおぉぉっ!!」 ドカァアンっっ!!! 爆発音が、森の中で響いた。 死臭で満ち溢れていた辺り一面が焼け焦げた臭いに一変した。 「ち、…千秋…??」 僕の叫び声と同時に爆発が起こり吸収蝿は全て灰になり地に混ざり合っていた。 吸収蝿が地に混ざり合っている真上にこけた時と同じ体勢で倒れて動かずにいる千秋がいた。 「千秋ッ!!」 駆け寄り千秋を抱き起こす。 「あ、…らた…??」 意識が朦朧としている千秋。 「ごめんっ…僕…っ」 「動くな」 「「ッ!?」」 背後から僕の首筋に冷たい無機質なナイフが宛がわれていた。 後ろを振り向けない。 「この爆発は貴様の仕業か??」 ナイフは首筋に宛がわれたまま質問してくる。 「吸収蝿が、…人型になって……それで……」 千秋を助けたくて、 助けたくて、僕は何をした?? 爆発は僕がしたのか?? 「ついて来い」 「え………」 「負傷者もだ。早くしろ」 ナイフが首筋から離れる。 振り向けば黒髪で顔の綺麗な若い人が立っていた。 どくんっ この人は……… 「人殺しっ」 「返してよっ!!!  を返して…」 「聞いているのか」 知らない記憶が頭を駆け巡る中負傷していた千秋を持ち上げた黒髪の人が僕に尋ねる。 「あ、…いきます。」 その人は更に森の奥へ歩いていく。 「名前は??」 「え…」 「名前はないのか?」 付いていけば、いきなり名前をきかれた。 「安藤新です」 「…………そうか」 かなり間合いをおいて返事が返ってきた。 僕の名前を聞いた時の顔は悲しそうだった。 「私は霧島明日那だ」 「女っ!?」 「吹き飛ばすぞ」 どうやら女性らしいです。 「安藤新。貴様に12軍勢の強制入隊を命令する」 「え…」 「喜べ。私の隊に入れてやる」 12軍勢って、千秋がいっていた戦闘専門軍隊のことじゃないか。 「千秋は。千秋はどうなるんですか…」 「貴様の好きにしろ。どのみち今後お荷物になるのは確実だがな」 千秋に視線を向けずに話し続ける。 「ついたぞ」 こうして、廻り出す歯車。
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