Real

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6話目 犯人 その日は3番隊の寮に泊めてもらう事になった。 結局あの後、千秋が目を覚ますことはなく一日目が終了していった。 なかなか目を覚まさない千秋が少し心配になってきた。 僕が起こしてしまった爆発のせいで軽い脳振盪だと看護係が教えてくれた。 しかし、霧島だけが看護係が出した千秋の症状診断結果に疑問を持っていた。 「隊長。何か気になることでもあったのですか??」 「あぁ…少し 。安藤を部屋に送った後で私の部屋に来てくれ。頼みたい事ができた。」 「はい。」 上司と部下らしい会話。 僕は桐谷さんに連れられて今日泊まる部屋に案内してくれた。 「あんた、現世の記憶は??」 「……ないです」 部屋の扉を開ける前に少し眉間に皺を寄せ怖い顔をしながら話し出す。 バンッ!!! しかも、胸倉を掴まれて壁に叩き付けられるおまけ付きで。 「隊長はね。あんたを今すぐにでも殺したい筈よ」 「え………」 「私なら、あんた何か今すぐ頭ぶち抜いてやってるわよ。」 自分の腰からぶら下がるホルスターから一丁の拳銃をだし銃先を真っすぐにおでこに当てる。 桐谷さんは、眉を八の字に垂れ下げ今にも泣きそうな顔で 「隊長はっ…あんたに大切な人を殺されたのよっ!!」 「え………………」 涙が零れそうな瞳で僕を睨みつけながら次第に大きくなっていく声で驚くような事実を彼女は口にした。 「隊長はこっちの世界で唯一現世での記憶がある人なのよ。隊長の出身地区知ってる??」 聞きたくない。 「あんたと同じ12月地区よ。」 僕は聞いちゃいけない。 聞いちゃいけない。 聞きたくない…っ。 「死亡理由は、死亡から1年前に起こった未成年による無差別大量殺人で恋人の死亡により後追い自殺。」 本来ならない筈の記憶を無理矢理脳に焼き付けるような無理矢理思い出させるような感覚が頭を揺らしていく。 「犯人は当日15歳の未成年」 僕じゃない。 「名前は」 僕じゃ 「安藤新」
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