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10話目 あみだくじ
「では…。今から試験内容を発表する」
総長は紙とペンを出してき、何本か縦横の線を書き出した。
「あみだくじじゃ」
ニカッと口端を吊り上げ全員を見渡す。
隣を見れば呆れた顔の木村副軍長がいた。
「今からあみだくじを各隊長・副隊長に行ってもらう。アタリをひいた奴が小僧の対戦相手になってもらう。ルールは己のメモリーを使った肉体戦じゃ」
「それって…、運が良ければ確実合格になりますよね…」
「"良ければ"…の話など興味ない」
五十嵐隊長が冷たく言い放つ。
「わ、悪ければ…」
「死」
「だねぇ~」
僕を視界にすら入れずに喋る五十嵐隊長。
それに続いて腕を組みながら赤隊長がおどけた様に笑う。
「さっさとあみだくじ書いちまうよ。あたしゃ昨日の残り物を洗濯しなきゃならないんだよ」
「まあまあ、梅よ。せかせきしなさるな」
機嫌が悪くイライラしている山本副隊長とそれを宥める桟敷隊長。
隊長や副隊長全員があみだくじに名前を書き終え、総長が戦をたどっていく。
「結果を発表する。」
総長の言葉に息をのむ。
緊張で手の平が汗で湿っているのが分かる。
「安藤新の対戦相手は」
時間の流れが遅くなる。
「12番隊隊長 琴音光流」
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