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「みっさとー!一緒に帰ろう?」
「え?良いけど…、今日は部活ないの?」
「…あはは、たまには息抜きも大事でしょ?ね?この雪美さまが帰りにジュースを奢ってあげよう!」
「ったくもー…、明日からはちゃんと出るんだよ?」
「わかってるって!」
……きっと、明日も同じようなこと言ってサボるんだろうなぁ…。
そんなことを考えながら、私は先の見えている未来に溜め息を吐いた。
ファイル1
名前:北野 美里(キタノ ミサト)
在学:滝下中学校3年生
部活動:帰宅部
家庭:父母は死去。兄と2人暮らし
ファイル2
名前:坂野 雪美(サカノ ユキミ)
在学:滝下中学校3年生
部活動:陸上部
家庭:父母、弟の4人家族
約束通り奢ってもらったジュースを片手に近くにある公園のベンチへと腰を下ろした
雪「ぷっはぁぁぁあああ!いやー、やっぱり学校が終わると1日が終わった気がするわー」
美「ちょっと、雪美。ちゃんと足閉じて座りなさいよ。女の子でしょ?」
雪「こんなの誰も見ないって!」
美「そういう意味じゃなくて……」
少しは周りの目というものを気にしてほしい、という説教じみた言葉をジュースと共に飲み込む。
やはり家庭の違いがあるのだろう。…そう思うと少し胸が重くなった。
雪「あ、そうだ。これ見てよ!」
美「…雪美!学校に携帯なんか持っていったの?」
“勉学に関係のない電子機器類等の持ち込みは禁止とする”
恐らく、殆どの中学校の校則に書かれていることだろう。
雪「だいじょーぶ!バレなきゃいいんだよ。大半の子は持ってきてるし、美里は真面目すぎだよ。」
美「そうかなぁ…」
そもそも持ってないけどさ……欲しいって思ったことはなくもないけど……。
雑念が頭を支配する中、気を紛らわそうと雪美の携帯画面を覗き込んだ。
美「真実の鏡…?」
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