第1話 真実の鏡

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雪「……よしっ、できたー!」 満面の笑みで両手を伸ばした雪美は達成感に満ちていた。 額にうっすら汗が浮かんでいるほどだ。真剣に書いてくれたことが伺える。 美「お疲れさま、雪美。」 雪「これしきのこと、美里のためなら痛くも痒くもな……アイタタタ」 美「無理しないの。本当にごめんね」 雪「私が聞きたいのは謝罪なんかじゃないぞ~?」 美「…ありがとう、雪美。」 雪「えへへ。どういたしまして♪はい、じゃあコレ。」 手渡された紙には準備や手順、注意まで事細かに書かれていた。 雪「汚い字だけど、そこはご勘弁を。」 美「そんなことないよ。逆に大きくて読みやすいから好きだよ?雪美の字。」 雪「そう言ってもらえると有り難いッス!本当は美里みたいに女の子っぽい字が理想なんだけどねー。」 美「私のは小さいだけだよ。小学校の時なんか今より小さくて、先生にもっと大きく書きなさいって注意されちゃった」 雪「名前の欄に収まらない字よりは全然マシ。ノートの消費率はダントツトップを貫いてたからね、私。」 ――やっぱり、雪美と一緒だと楽しいな。 少しの話題を大きく盛り上げてくれる。私には無いものを、彼女が持ってる。 美「……羨ましいな。」 雪「ん?何か言った?」 美「ううん、なんでもない。そろそろ帰らないとね。」 雪「時の流れは早いねー…。それじゃあ、美里。また明日ね!」 美「うん、今日は本当にありがとうね。バイバイ」 大きく手を振る雪美に、少しだけ手を挙げて応えた。 こんな日がずっと続いたらいいな…。
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