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雪「……よしっ、できたー!」
満面の笑みで両手を伸ばした雪美は達成感に満ちていた。
額にうっすら汗が浮かんでいるほどだ。真剣に書いてくれたことが伺える。
美「お疲れさま、雪美。」
雪「これしきのこと、美里のためなら痛くも痒くもな……アイタタタ」
美「無理しないの。本当にごめんね」
雪「私が聞きたいのは謝罪なんかじゃないぞ~?」
美「…ありがとう、雪美。」
雪「えへへ。どういたしまして♪はい、じゃあコレ。」
手渡された紙には準備や手順、注意まで事細かに書かれていた。
雪「汚い字だけど、そこはご勘弁を。」
美「そんなことないよ。逆に大きくて読みやすいから好きだよ?雪美の字。」
雪「そう言ってもらえると有り難いッス!本当は美里みたいに女の子っぽい字が理想なんだけどねー。」
美「私のは小さいだけだよ。小学校の時なんか今より小さくて、先生にもっと大きく書きなさいって注意されちゃった」
雪「名前の欄に収まらない字よりは全然マシ。ノートの消費率はダントツトップを貫いてたからね、私。」
――やっぱり、雪美と一緒だと楽しいな。
少しの話題を大きく盛り上げてくれる。私には無いものを、彼女が持ってる。
美「……羨ましいな。」
雪「ん?何か言った?」
美「ううん、なんでもない。そろそろ帰らないとね。」
雪「時の流れは早いねー…。それじゃあ、美里。また明日ね!」
美「うん、今日は本当にありがとうね。バイバイ」
大きく手を振る雪美に、少しだけ手を挙げて応えた。
こんな日がずっと続いたらいいな…。
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