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美「ただいま…。」
誰もいないのは知ってる。それでも、毎日言っている言葉。
自分でも寂しいとは思うけれど、もう慣れっこだ。
自分と兄の分の夕飯を作らねばならないため、時計を見ながら献立を考える。
そこで、ふと思い出した。
美「…今日はお兄ちゃん帰らないって言ってたなぁ。」
私の兄は既に立派な社会人だ。
両親が居らず、幼い妹がいる。この2つを課せられた当時の兄は、進学を断念し就職を選んだ。
地道に功績を積み上げ、やっとの思いで高い地位についたのが現状である。
美「私も頑張らないと…!」
兄ばかりに負担を掛けてはいられない。私は、その思いで努力をしているのだ。
ご飯は1人のため適当に済ませ、お風呂はシャワーで十分に事が足りる。
後は寝るだけ、そこで私は雪美が書いてくれたものを思い出した。
カバンのポケットから紙を取り出し、内容を確認する。
美「…うん、やってみるか。」
失敗はないって言ってたし、大丈夫だろう。少し緊張しながら準備を始めた。
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