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美「私の、お母さんとお父さんが死んだ原因を教えて。」
『わかった。そのまま鏡を見ててね。』
鏡の中の私が消えた瞬間、ある映像が映し出された。
『あーあ!あーあ!』
『おお?…今、美里が“ぱーぱ”って言ったぞ!』
『違うわよ“まーま”って言ったのよ。ねー、美里?』
『…どっちでもなくね?』
鏡に映ったのは幸せそうな家族。真ん中には「美里」と呼ばれる赤ちゃんが笑っている。
美「私……?」
――ああ、これは、私が欲しかったものだ
ずっと、ずっと望んでいた“当たり前”が今、ここに映し出されている。
『もう少しでお兄ちゃんの誕生日ね。』
『何か欲しいものとかあるのか?』
『別に。もうすぐ受験だし、そういう物はいらないよ』
――――受験…?確か、お兄ちゃんが受験の前にお母さんとお父さんは……
場面が変わり、お母さんとお父さんは車に乗っていた。
『まったく、今日はお兄ちゃんの誕生日なのに美里の物ばかり買って…』
『アイツには合格祝いに豪華な物を買ってやるよ。いらないと言われたら、なに買っていいかわからないだろう?』
2人が会話をする中、後ろの席には可愛いぬいぐるみがたくさん置いてあった。
唯一、お母さんの膝の上にあるバースデーケーキがお兄ちゃんの物なのだろう。
美「お兄ちゃん、本当は欲しい物あったんだろうなぁ……」
『そういう贔屓をするから、あの子は…』
『反抗期なんてどこの子もみんな一緒……ッ!?』
美「…っお母さん!お父さん!」
それは、一瞬のことだった。
今まで笑って、話して、生きていた2つの命が消えたのは。
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