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ーフッ…と微笑んだ彼は
「珈琲でいい?」
「……うん。」
「いつもブラックやんな?」
「……うん。」
“いつも”
と言う、そんな些細なことを覚えている彼の言葉をちょっと嬉しく感じる。
「はい。どうぞ。」
ソファーに腰掛けた私の前に珈琲を差し出す彼。
「ありがとう。」
その珈琲を受け取ると
「煙草、吸ってえぇよ。」
とテーブルにある灰皿を私のほうに寄せ、彼はそのまま床に胡座を組んで座り、ーグシャグシャーーとタオルで髪を拭いている。
私は鞄からシガレットケースを取り出し
ーーカチッーー
煙草に火をつけた。
--フ~…吸い込んだ煙をゆっくり吐き出すと、寝ぼけている頭が少しずつ冴えてくる。
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