~第3章~

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一度、母が亡くなって間もない頃。  当時10歳の私には耐えきれなくて、夜中に包丁を持ち出し部屋で自殺をしようとしたことがある。  ドラマでもよくあるように、手首に刃を滑らせた。  するとーージワジワッと少しずつ血が滲みでてくる。  我慢していた涙が出るように血が流れて行く…  そしてーーキリッと痛む傷口が モヤモヤした気持ちを忘れさせてくれたんだ。 “ゴメンねぇ…ママ。代わりに私が死ねばよかったのにね。” “どうして私を置いて逝っちゃったの…” “私が死んでも誰も哀しまないもんね。”  私は流れ出てくる血を眺めながら、答えなんて返ってこない問いを続けた。 .
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