~第3章~

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しかし…しばらくして  タクシーの運転手をしているため深夜に帰ってくる祖父に見つかり… “娘に続き、お前まで失うぐらいなら、ワシも連れていけ。” と止めることなく、 包丁を握った私の手に 自分の手を重ね、刃先を自分に向けた祖父。 “ゴメンなぁ。何もしてあげられへんくて。” と祖父の涙を面と向かって見たのは 生涯、この時が最初で最後だった。  さすがに私は そんな祖父を巻き添えには出来ず、包丁を握る手を離した。 “大丈夫。私には祖父がいる。” そう自分に言い聞かせた。 .
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