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あ、優ちゃんって言うのはアタシのダーリン。
優理って名前でかわゆいのう~!
アタシは虎二郎だから凄く羨ましかったわ。
なんて、愛する優ちゃんにさよなら告げていたら、お父ちゃんがアタシの腕をガシッと掴んだ。
ひぃぃぃ!
海に沈められるんだわ…
アタシは覚悟を決め、せめて最後にちゃんとお父ちゃんに謝ろうと意を決して顔をあげた。
「ごめん」
…って謝ったのはアタシじゃなくお父ちゃん。
ほえ?
キョトンとなった。
「すまんなお嬢ちゃん、水かけちまって、おいでタオルあるから」
アンタ…本当にお父ちゃん?
アタシは疑ったわ…
だって、アタシに謝り…そして優しく笑うのよ。
これでもかってくらいに!
こんなお父ちゃん見た事ない。
はっ!分かったわ!
きっと宇宙人よ、宇宙人がお父ちゃんに化けてるんだわ…。
それかドッキリよ!
「おーい、母さんタオル持って来てくれんか」
お父ちゃんはお母ちゃんを呼ぶ。
うひゃあ…、ヤバイ!
アタシ、超ピンチじゃない?
お母ちゃん…
お母ちゃんも15年振り。
超美人で有名だった。
アタシの美貌はお母ちゃん譲り。
まあ…ちょっといじったけどね。
「何?どうしたん?」
お母ちゃんが言われた通りにタオルを持って現れた。
アイヤあ~!
「さっきのヤツに水かけるつもりがこのお嬢ちゃんにかけてしまった。」
「あらあら」
お母ちゃん…老けたわねえ…。
でも美人。
アタシはちょっぴり涙が出そうになり俯いた。
「ごめんなさいねえ、お嬢さん」
お母ちゃんはタオルをアタシにくれる。
「あら?」
そう言ってお母ちゃんはアタシの顔をジッと見た。
あああ…、
最後の審判ね。
もう…覚悟を決めなきゃね!
「お嬢さん、なんとかってアイドルに似てる!可愛いねえ」
お母ちゃんはもの凄いテンションではしゃいでいる。
なんとか…って誰よ、お母ちゃん。
「でも、タオルじゃ間に合わないわね、お風呂はいる?風邪ひくわよ」
そう言うとお母ちゃんはアタシの腕を引っ張り歩き出す。
「お父ちゃん、お嬢さんの荷物」
と振り返り、鞄達を指さす。
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