ただひとつ

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まず、事実を話すことから始めようか。 私のクラスはとても平和で、仲がいい。 ―基城 彩夏(キジョウ アヤカ)― それが私の名前。 県立明之宮高校3年B組出席番号15番。 この学校における私のステータスは、平均よりちょっと上くらいな真面目生徒。 趣味は人間関係観察。 例えばこのクラスにいる出席番号40番・涌井遥と、隣のクラスの安西育美は幼なじみで仲がいいと評判だ。 しかし涌井さんの表情をみればわかる。 互いが互いを嫌悪しあってる関係だと。 あとはミス明之宮と呼ばれる美少女で出席番号2番の池内魅奈と、冴えない草食系男子な出席番号5番の宇佐美忠は実は恋人同士とか。 そういうのを見るのが趣味。 特にそうしようと思ってる訳でもないから、趣味とも言い難いけど。 でもうちのクラスは孤立とかそういうのは存在しない。 割りと譲り合いに長けたクラスで、その辺は大人と言えよう。 謙虚、とでもいうのか 秀才から馬鹿まで居ても、人間できていることが最もである。 「まぁ、それは私の独りよがりな思考なんだろうけどね」 その呟きは教室の喧騒に消されていった。 .
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