ただひとつ

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―ザザッ― 「?」 ふと、私の耳に何か音が聞こえた。 ノイズ音、みたいなものが。 「ねぇ、今ノイズみたいなの聞こえなかった?」 友基と欄に訊ねる。 「いや、聞こえないけど」 「私も」 2人は首を横に振った。 でも確かに聞こえたはずなのに… 辺りを見回す。 しかし誰も何にも気付かなかったようだ。 私だけ…? 「………」 ま、気にしないでおこう。 あまり続くなら耳鼻科行けばいい。 私の耳に異常があるのかもしれないし。 あと二限分の授業が終われば帰れる。 今日は早く帰って、無性に休みたい。 ―キーンコーンカーンコーン 「あ、授業が始まるから友基は前を向きなさい!!」 「へいへい。あ、彩夏、どっか具合悪くなったら言えよな」 「うん、ありがと」 さっきのノイズを心配して友基が掛けてくれた言葉に安心感を覚えた。 何もない。 それだけを信じて。 私達は授業を受けはじめた。 .
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