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「詩織ちゃん、努力家だからねぇ。あの時だって――」
「ところで、当の本人の渡辺美香さんは?」
「その姿を見て、俺は思ったよ。『この子の頑張る姿は、まる――」
「大学に行ってます。『怖いことがあっても、講義は休めない』って。」
「懐かしいなぁー…あの頃―――」
「なるほど…感心な勤勉さだな。どこかの馬鹿にも見習って欲しいものだ。」
「誰一人として聞いてねぇっ!!」
大介が激しく仰け反るのと同時に、廉也が立ち上がった。
男性1人分の重さが無くなり、背もたれに強い衝撃を与えられた古びたソファーは、
いとも容易く後ろへ倒れ込んでしまった。
ドスンという鈍い重低音と共に、ゴツンという痛々しい音が部屋に響く。
「先輩っ!大丈夫ですか!?」
「くっ……ッ!!」
駆け寄った詩織が、心配そうな目で大介を見る。
その一方で廉也は、
頭を抱えてのたうち回る大介を、冷ややかな目で見ていた。
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