<第零章>

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――誰かいる…。 サークルの飲み会に行き、その帰りのことだ。 いつもなら同じ大学の友人が一人ついてきてくれるのだが、今日その友人はいない。 渡辺美香は、歩く速度を少し速めた。 妙な気配に最初に気付いたのは、翌日の朝食を買うためコンビニに立ち寄った時だった。 ふと、誰かに見られているような気がしたのだ。 しかし店内を見回しても、バイトの店員二人とビール缶を買う仕事帰りのサラリーマン。 おそらく野球部であろう部活帰りの高校生が三人。 それだけしか見当たらなかった。 朝食を買ってコンビニを出ても、まだ視線を感じていた。 あまり容姿がいいとは言えない自分に対し、ストーカー行為を働く人間がいるとは到底思えないが… ――怖い。
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