<第零章>

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どっと溜め息をついた。 そして自分が、今まで呼吸をしていなかったことに気付く。 さっきまで溺れていたかのように、激しく息をついた。 そして美香はドアを背もたれにして、その場にへたりこんでしまった。 ――……怖かった…。 部屋に入ってしまえば大丈夫。 もう大丈夫。 そう安心した矢先だった。 ドアをはさんではっきりと、確かに声が聞こえたのだ。 美香はその後三十分もの間、恐怖によって金縛りに遭うことになる。 美香の耳にはこう聞こえた。 『マ タ ア シ タ ネ   ボ ク ノ オ ヒ メ サ マ』
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