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「綾部詩織さん。1つ聞きたいことがあるのだが…」
「えっ?…あ、はい。何でしょう。」
「あぁ、すまない。事件とは関係の無いことだ。肩の力を抜いてくれ。」
急に名前を呼ばれ驚いた表情の詩織に、笑いながら男が言った。
「はい。……すいません。こんなとこに来るの初めてなもので、緊張してしまって…」
「いやいや謝らなくて良い。『緊張』は大きな経験になる。今のうちに経験を積んでおくことだ。それよりも…」
男が、隣にいる青年に目を移して言った。
「こいつとは…結局どういう関係なのかな?」
「へっ?」
あまりの突拍子も無い質問に、詩織は目を泳がせた。
「…大介先輩から聞いてませんか?」
「こいつからは『後輩』だということしか情報を得られていない。」
「やっぱり…」
詩織が溜め息をついた。
そして男が、煩わしそうに顔をしかめる。
「おい厳原(イズハラ)。貴様はさっきから何をぶつぶつ呟いている」
名前を呼ばれた厳原大介は、ビクッと体を動かした。
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