<第一章>とある5月の

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「っ!!……何だ廉也(レンヤ)さんか。驚かせないでくださいよぉ。」 大介がふーっと溜め息をついた。 「先輩…私のこと、風越(カザゴシ)さんになんて話したんですか?」 「え?」 大介が怪訝そうな顔をした。 「俺はちゃんと、『明日俺の後輩の詩織ちゃんが相談しに来ます』って言ったけどな。」 「それを世間では『ちゃんと』とは言わん。」 廉也がさらに顔をしかめ、呆れたように続けた。 「しかも自分の発言すら間違えている。正しくは、『廉也さん!明日俺の後輩の詩織ちゃんがくるらしいんでお願いしますね!…じゃ、俺は今から飲み会あるんで。お疲れっしたー』だ。」 「さすが廉也さん!細かいとこまでよく覚えてますね!」 あははと能天気に笑う大介を見て、2人は大きく溜め息をついた。 「先輩……変わってませんね。」 「君もこんな愚かな先輩がいて大変だな。」 「あ、廉也さん。今俺のことバカにしませんでしたか?ねぇ、バカにしましたよね?」 廉也は大介から目を逸らし、再び詩織に向き直った。
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