18人が本棚に入れています
本棚に追加
ファイルの内容を全て頭に詰め込み、火の魔力を使ってファイルを焼いた。
黒くなったのを見届けて、部屋をぐるりと見回すと、棚に刀が飾られているのが目につく。
変わった刀。
鞘が真っ白。
手に取って、鞘から刀を抜くと刃も真っ白だった。
まるで、まだ穢れを知らない聖母マリアのような純白の刀。
悪魔の私が手にするのすらおこがましい。
だけど、その刀を私は手放すことができなかった。
あとは特に気になる物もなく、私は部屋から出て外に向かう。
研究所から初めて出た気がする…
大きな研究所を見上げて、火を着けた。
赤い炎に飲み込まれ、研究所は黒く黒く染まっていく。
便利な魔力。
だけど、使う機会もそんなにないだろう。
それにこの刀…『マリア』があれば、どうとでもなる。
燃えていく研究所に背を向けて、私は歩きだした。
それからの毎日は、まぁ平凡。
害になりそうな人間は殺し、生きてきた。
だけど、気付いたんだ。
ただの脆い存在を殺しても、満たされない自分に。
だから数年後、この学園のパンフレットを見つけて入学することにしたのだけれど―…
.
最初のコメントを投稿しよう!