捕らわれの兎と純粋なる獣

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すると、暫くの沈黙の後… 「すまない、……借りる。」 そう言い、雪乃の差し出したハンカチを受け取り、軽く肩を拭いたのだった。 そんな中、タイミングが良いのか悪いのかバスが着き、並んでいた人々は次々と乗り込んで行く。 雪乃はバスが来た事にも気付かず呆然と立ち尽くしており、足が地面に固まり動けないでいた。 後ろに並んでいた人が雪乃を抜かし乗り込む中、隣にいた狼はバスに乗ろうとしない雪乃を不思議に思い声を掛ける。 「バス来たけど、乗らないのか…?」 ハッとし、慌てて答え深く頭を下げる。 「失礼しました!! 出過ぎた真似をして、申し訳ございませんでした!!」 「いや、助かったよ…。 ハンカチはすまないが借りる。 先に行く。」 そう言い先にバスに乗った。 雪乃はと言うと、頭を下げたままバスが発車するまでそのままでいた。 とてもじゃないが、あの狼と同じバスに乗るのは出来なかった。 .
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