第一章[新たな風]

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「お前ら待て待て待てーーー!」 取り囲みの現場に飛び込んでいく。 「ここは俺が食い止める!だから、今のうちに早く逃げるんだっ!」 必死に語りかけた。 「・・・はぁ!?俺達に言ってんの?」 不良達に。 「そうだよ!早く逃げろ!早く!!!つうか、相手見て喧嘩売った方がいい。この女の人が誰だかわかってる?」 「分かってんよ。川神 百代(カワカミ モモヨ)だべ?俺達の地元、”ちば“まで情報はいってきてるぜぇ!」 俺の質問に、不良達の1人が答える。 「・・・わざわざ他の県から来たのかよ。」 どうやら、どんどん噂が広まって行ってるようだ。 「だからアイサツにきたわけだよ。」 先程とは違う不良が、ガムをクチャクチャしながら答えた。 「七浜のチーム、“九尾の犬”を1人でつぶしたとかさぁ、生意気なガキをボールに見立ててダンクしたとか、いちいち嘘くさいんだよ。」 さらに違う不良が口を開く。 「・・・女だからって、手出さないとか思うなよ?」 その奥から、また違う不良がクスリと笑いながら言う。 「テトリス、か。懐かしいな。」 今まで囲まれてた姉さんが、不良達の1人が付けていたストラップを見て口を開いた。 「あ、何言ってるんだお前。」 「お前の携帯ストラップだよ。それ、テトリスのブロックだろ?」 最初に口を開いた不良に姉さんは聞く。 「だから何だっらぁ!関係ねーだろっがぁ!?」 「つうか何落ち着いてんだお前!!”ムカツク“ぜ!?」 不良達のボルテージが上がる。 「久々にやってみたくなった。協力してくれ。」 しかし姉さんは意に介さない。 「あぁ!?」 「こんな風にして、お前達をブロックに見立てよう。」 「ぎっ!?」 嫌な音の後、不良1人の腕関節がありえない方向に曲がっていた。 「い、いってぇぇぇぇ!俺の腕がぁぁぁ!!!」 「て、てめぇ!船橋君をやりやがったな!」 「皆で“ヤ”っちまえぇぇぇ!!!」 仲間の1人がやられた事により、不良達が姉さんに襲いかかる。 「遅い!!お前ら赤子か!?」 だが姉さんはそんな攻撃を軽くかわすと、次の瞬間には男達は全員フッとばされていた。 周囲の観客から、待ってました、とばかりにドッと歓声がわきおこる。 観客の多くはうちの学生だ。
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