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「お前ら待て待て待てーーー!」
取り囲みの現場に飛び込んでいく。
「ここは俺が食い止める!だから、今のうちに早く逃げるんだっ!」
必死に語りかけた。
「・・・はぁ!?俺達に言ってんの?」
不良達に。
「そうだよ!早く逃げろ!早く!!!つうか、相手見て喧嘩売った方がいい。この女の人が誰だかわかってる?」
「分かってんよ。川神 百代(カワカミ モモヨ)だべ?俺達の地元、”ちば“まで情報はいってきてるぜぇ!」
俺の質問に、不良達の1人が答える。
「・・・わざわざ他の県から来たのかよ。」
どうやら、どんどん噂が広まって行ってるようだ。
「だからアイサツにきたわけだよ。」
先程とは違う不良が、ガムをクチャクチャしながら答えた。
「七浜のチーム、“九尾の犬”を1人でつぶしたとかさぁ、生意気なガキをボールに見立ててダンクしたとか、いちいち嘘くさいんだよ。」
さらに違う不良が口を開く。
「・・・女だからって、手出さないとか思うなよ?」
その奥から、また違う不良がクスリと笑いながら言う。
「テトリス、か。懐かしいな。」
今まで囲まれてた姉さんが、不良達の1人が付けていたストラップを見て口を開いた。
「あ、何言ってるんだお前。」
「お前の携帯ストラップだよ。それ、テトリスのブロックだろ?」
最初に口を開いた不良に姉さんは聞く。
「だから何だっらぁ!関係ねーだろっがぁ!?」
「つうか何落ち着いてんだお前!!”ムカツク“ぜ!?」
不良達のボルテージが上がる。
「久々にやってみたくなった。協力してくれ。」
しかし姉さんは意に介さない。
「あぁ!?」
「こんな風にして、お前達をブロックに見立てよう。」
「ぎっ!?」
嫌な音の後、不良1人の腕関節がありえない方向に曲がっていた。
「い、いってぇぇぇぇ!俺の腕がぁぁぁ!!!」
「て、てめぇ!船橋君をやりやがったな!」
「皆で“ヤ”っちまえぇぇぇ!!!」
仲間の1人がやられた事により、不良達が姉さんに襲いかかる。
「遅い!!お前ら赤子か!?」
だが姉さんはそんな攻撃を軽くかわすと、次の瞬間には男達は全員フッとばされていた。
周囲の観客から、待ってました、とばかりにドッと歓声がわきおこる。
観客の多くはうちの学生だ。
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