第一章[新たな風]

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「この人が2人とか勘弁してくれ。」 「んー?今のは聞き捨てならないな舎弟。」 俺のぼやきに、姉さんが反応する。 そして、頭を手で圧迫された。 「痛い痛い!!景色がかすむ!!」 「鞄を持たせないだけ、優しい姉貴分だろ?」 「あれ?アタシ達のアタマがいないじゃん。」 姉さんとそんなやりとりをしていると、ワン子がキャップが居ないことに気付く。 キャップとはこのグループ“風間ファミリー”のリーダーで、名前を風間 翔一(カザマ ショウイチ)という。 いつも頭にバンダナをしていて、同じ寮に住んでいる。 「消息不明。」 ワン子に簡単に答える。 「ま、よくあることかなー。」 そう、キャップは放浪癖があり、こういう状況は、よくあることなのだ。 なので、俺達の中では誰も気にしない。 俺達と合流したのでワン子も一緒に歩くことになった___。 タイヤを引きずりながら。 「歩くときぐらい、トレーニングはよそうぜ?」 「私はいついかなる時も鍛える事を忘れないのサ。」 ガクトの言葉にワン子が応える。 「タイヤ引っ張る子と歩く、僕達が恥ずかしい。」 「この内気。だからアンタはモロなのよ。」 「師岡は生まれついての名前なんだよ!否定しないでよ!」 ワン子とモロが騒ぐ。
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