数学のノート

5/6
前へ
/9ページ
次へ
俺は急いで彼女の家へ走った。 彼女の母親は、俺を見るなり、泣きながら徐に俺の数学のノートを手渡してきた。 「あの子の机の上に置いてあったの。貴方のよね?」 何とも言えず、俺は母親に 「ありがとうございます。それから、…お悔やみ申し上げます。」 それだけ言って家へ帰った。 部屋へ行き、彼女から返された数学のノートを適当にパラパラとめくっていた。 すると、ノートの中に1枚の便箋が挟まっていた。 俺はその手紙を読んだ。 『佐原くん、いつもテスト前に勉強教えてくれてありがとう。お陰で、楽に赤点を回避できます(笑) でも、今回はそうはいかないかもです。私のせいで佐原くんのこと怒らせちゃって、本当にごめんなさい。 私、佐原くんと一緒に勉強するの、凄く好きだった。 …佐原くんが好きだった。 今まで私なんかの為に勉強教えてくれてありがとう。 これからも勉強、教えてほしいな。 それとも、私みたいなサボり魔はもう嫌かな?(笑)』 涙が溢れて止まらなかった。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加