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「い・や・だ」
「わっ、私と計くんは愛し合う仲だったのですかー!?」
「ぐ……は、離せ!」
金剛寺に制服の襟首を捕まれ、成す術なく引きずられる計と杏子。
ちなみに金剛寺勇美、49歳、独身。
「うるせえぇぇぇ! 羨ましいんだよ畜生ぉぉぉぉぉぉぉ!!」
扉の閉まる音が、誰もいなくなった屋上に虚しく響いた。
▲▽
「やっと終わったか……」
「酷い目に合ったのですよ……」
電球の説教(ただし大半は愚痴だった)が終わったのは、それから数時間が経過してのことだった。
すっかりやつれた様子の二人は、とぼとぼと学生用玄関を後にする。
「アンコってどの辺に住んでるんだ?」
既に辺りは暗かった。真夜中の学校というのはどこか不気味だ。
聞かれた杏子は、隣を歩く計に疑惑の視線を向ける。
「私の家を聞いて一体どうする気なのですか」
「送るんだよ」
「ははん、やっぱり送るつもりなのですね……、送る?」
一転して、杏子は心底不思議そうに計を見上げた。
「何をぽかーんとしてんだよ」
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