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「で、では、もう一度聞きますが」
「ん」
「計くんは、私のことが好きですね?」
訪れたのは沈黙だった。
「質問が変わってんじゃねぇか。というか、何だその質問」
「は。間違えました」
「……次ふざけたら帰るからな。どこに帰るんですかとか突っ込むなよ」
「それは逆に突っ込めという振りなのでしょうか?」
「………………」
さすがにやり過ぎたと思ったのか、杏子は咳ばらいを間に挟んだ。
一応、自分のペースは取り戻せたらしい。
「計くんは、学校が嫌いなのですか?」
そして、ようやく、本来の質問へと戻った。
それに対する計の回答は、もちろん決まっている。決まりきっていた。
――好き、ではないな。
「好きだ、それなりには」
彼自身も、どうして嘘をついてしまったのか良くは分かっていなかった。
無論、学校なんて嫌いである。でなければ、こうしてサボり魔をやっているはずもない。
大多数の生徒以上には学校のことが嫌いだった。
ただ、
「そ、そうですか!」
無邪気に喜んでいる杏子を見ると、決して悪い気はしない――が、肝心の喜んでいる理由が謎である。
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