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突然だが、人が目の前で死のうとしていたら、普通はどんな行動を取るだろう。
「さぁねぇ。ま、私様は迷わず頬をひっぱたいてこう言うね。『命を粗末にすんじゃねえ!』ってドラマチックにさ」
ああ、そうかい。でも、僕はきっと助けないよ。
「へえ? 冷たいというか、何というか。私様はお前らしいとは思うけど、一応聞こう。なんで?」
だって、責任が取れないだろ。
「責任?」
ああ。『生きろ』って、『命を粗末にするな』って言うのは簡単だけど、それって生きるのが死にたくなるほど辛いって人に『もっと苦しめ』って言ってるように思うんだ。
「ふん?」
そして、そんな地獄のような世界にその人を引き留めておきながら、大抵の人は『命を救った』という自己満足だけを得て、それでおしまいなわけだ。
その後のその人の人生まで責任は持たないだろ?
無論、命は尊いけど、自殺を決心するほど辛い世界で、果たして命は輝けるのかと――尊いからこそ、引き留めるべきじゃないんじゃないかと、そう思ってしまうんだ。しまったんだよ、僕は。
「……ひねてるねぇ。歪んでるとも言える。私様にはちっともわからねぇよ。私様ってば本能的に助けちゃうからさ」
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