第三章 [授業]

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井原先生に続き、疎らな拍手から拍手喝采へとなった。 涙が出そうな程、くやしかった。心臓の脈拍を感じとれる程、胸が苦しかった。 「これは、夏休みの間に私が編曲したものよ。」 額から汗が流れ落ちる。 「この曲は心地を意識して書かれた曲だと思うわ。だから、あえてこうしたの。そう、オケの部分をあえて忠実に再現し、両手が独立して激しく左右に動くようによ。」 (だめだ…誰だよこいつ。) セイジは屈辱を噛み締めながら、この女性を見つめていた。
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