第三章 [授業]

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(何だこれは…) セイジの脳裏にたくさんの女性がフラッシュバックした。 (母さん?…ソーニャ先生?…奈美子ちゃん先生!?) いつかの、憧れたピアニストに被る。 (そうだ、奈美子ちゃん先生だ!) 譜面を見ると"ピアノ協奏曲第1番第1楽章(抜粋)"のタイトル。ショパンの作曲という事も書いてある。 (奈美子ちゃん先生はショパンをよく弾いていた。) 井原奈美子--セイジが3歳~4歳の時、初めて習ったピアノの先生。 当時、大学卒業後、誰もが知る才能の持ち主だったが周囲の反対を押し切り、プロにはならずピアノ教師をしていた。 セイジの父もよく知っていて、父の意向により、彼女に習っていた。 セイジも初めての先生で、優雅な風格と演奏によく聴き入っていた。 教室に残っていたは先生と生徒--奈美子ちゃん先生とセイジの二人だけだった。
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