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なに、これ……。 怒ってんのは、こっちじゃん。 そか。 最初から別れる気だったんだ。 俺のことが嫌いになって、女の人と付き合った。 笑えるね。 そんなヤツ、こっちから願い下げだね。 「じゃあ別れよ」 このまま付き合うなんて、俺には到底無理。 しかも逆ギレ。 ムカつきすぎて腹がたってくる。 「指輪、返す」 N「………」 「俺、一回外出る。何もなかったようにまた入るから」 それだけ言って、楽屋から一旦外に出た。 さよなら、雄一のことが好きだった俺。 今は、もう好きじゃない。 むしろ嫌いだ。 あんな嘘つき男に惚れた俺がバカだった。 情けなくて涙も出やしない。 「中丸は、俺の恋人じゃない」 これから間違って雄一、なんて呼ばないように、ひたすら呟き続けた。 今までの中丸への気持ちは忘れるんだ。 これからは、中丸を嫌いな俺で…。 「あんなヤツ、許すか」 俺がどれだけ傷ついたか、これから分からせてやる。 俺は、楽屋のドアを開けた。
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