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「自分からは絶対に言わない」 病気だからって、病人扱いされるのも嫌だし、同情されるのも嫌だ。 姉「こんなに痩せて、熱も下がらなくて、血も吐いて…。まだ意地を張るつもり?」 「姉貴…」 俺のことを思って言ってくれてるのは分かるよ。 姉貴はブラコンだから。 俺のしていることが、迷惑をかけていることも分かってる。 でも、自分で決めたからには貫かないといけない。そう思うんだ。 「ごめん。でも、もうすぐ終わるからさ」 姉「雄くん…、あんた何しようと…」 ツアーの最終日に、俺は皆に内緒であることをしようと思ってるんだ。 もちろん、皆ってのはメンバーのことね。 「このツアーが俺の最後の仕事だから…。だから、それまでは我儘聞いて?」 ツアーが終わったら、この家に帰ることが出来なくなる。 病院でずっと寝たきり。 外にも出れない。 姉「雄くん…」 「それまでは元気な俺を演じるから…」 このツアーが、俺の最後の仕事で、両親に出来る最後の親孝行。
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