第12話 【たたりもっけ】

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  それは、ある()んだ風が吹き抜ける夜のことだった。 巨大な(あお)三日月(みかづき)が集落を睥睨(へいげい)している。 『出たぞーっ』 男の声と同時に女の裂帛(れっぱく)も空に木霊(こだま)した。 それを引き金に、貧民達は()()りに逃げ惑う。 あらゆる人間たちの悲鳴(ひめい)が聞こえた。 「こっちだーっ!早く逃げろぉーっ」 「早く隠れるんだ」 「みんな安全な場所へ避難(ひなん)しろーっ」 すると、月を背にし、漆黒(しっこく)(かげ)()()りに見えた。 その形は、巨大な(とり)。 一度それはその場所から浮遊していた。 それを、村人たちは固唾(かたず)()んで身構(みがま)えている。 だが、その巨大な鳥は一気に集落に向かって急降下(きゅうこうか)をしはじめた。 ごごご、と強大な妖気(ようき)が叩き付けるように感じられた。 殺気(さっき)に似たもののようだった―――。 本能的に村人たちは全身全霊回避(ぜんしんぜんれいかいひ)を半ば強制的に強いられる。  
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