第12話 【たたりもっけ】

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    巨大な二つの目玉(めだま)が、赤く炯炯(けいけい)と光る。 こちらに近付くほどその影は巨大なさまを克明(こくめい)かつ明瞭(めいりょう)に見せた。 それが一層(いっそう)村人たちには畏怖心(いふしん)を駆り立てた。 「もう止めてくれ」 彼らは生きた心地はしない。 今まで、その怪鳥(かいちょう)に殺された人間は一人もいなかったが、家屋を手当り次第に破壊された。 そのたびに、村人たちは力を合わせ修復(しゅうふく)作業に取り掛かるが、忘れた頃にまたあらわれ破壊される。 みんなで、この村を離れようと考えたこともあったが、それは(かな)わぬ理想(りそう)でしかなかった。 いまこの地を(はな)れたところで行く()てもなければ、領地(りょうち)を紹介してくれる仲介人(ちゅうかいにん)もいない。ましてや狭小の荒れ果てた集落の人間に、土地を分け与えるほど寛大(かんだい)な村もないだろう。 この世に神がいるとするならば、それらの存在を心から(うら)んだ。  
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