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すると突如、目をふさぎたくなるほどのまばゆい光が怪鳥の眼光を射した。
怪鳥はその光にひるみ、ふたたび上空へと飛昇する。
村人たちは、その謎の光のおかげで怪鳥の姿形が明瞭に把握できた。
それは、巨大な『化梟』であった。
突如放たれた光の正体。村では見掛けぬ顔。
立ち尽くしていたのは、たった一人の幼き少女。
白をベースにした着物を羽織り、振袖には藤色の斑点が連続的に刺繍されている。
つややかで長い黒髪をそよ風にたなびかせ、瞳は月光によって水面がたゆたうかのような潤沢を放っていた。
少女は両手で不思議な銅鏡を胸の手前あたりで持っている―――。
どうやら、あの銅鏡に月光を反射させたのだ。
彼女は一間置くと、村人たちの方に振り向いた。
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