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井「ただしりもちをついただけですから気にしないで下さい。」
鈴「本当にすみません。あっ、えりが。」
鈴はそう言って井坂のスーツのえりを直すふりをして、発信器をえりの裏につけた。
そして、肩についたほこりを落として井坂から離れた。
井「ありがとうございます。」
鈴「いえ、こちらこそ本当にすみませんでした。」
鈴は最後にもう1度そう言って井坂とは逆の方向へ走って行った。
鈴(成功しました。)
鈴は少し走った後、振り返って会社へと戻って行く井坂の後ろ姿を見てそう心の中で呟いた後、急いで車へと戻った。
車へ戻るとすぐにパソコンを開き、イヤホンを耳につけた。
すると、
井『本当に申し訳ありません。会長はただいま取り込み中でして。はい、はい、必ず後程ご連絡をさせていただきます…本当に申し訳ありません。』
という井坂の声が聞こえてきた。
鈴(やっぱりえりにつけて正解でしたね。声がよく聞こえます。)
鈴はイヤホンから聞こえてくる声に満足そうに頷いた。
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