・悠と良仁

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良「…私と莉子がどのようにして結婚に至ったのかはご存知ですか?」 悠「はい。莉子さんからお聞きしました。あなたが莉子さんに一目ぼれされたのが始まりですよね?」 良「そうです。私はどうしても彼女が欲しかったんです。そのために彼女の実家を使って彼女を手に入れたんです。」 良仁は自嘲の笑みを浮かべた。 悠「……………。」 悠(ここはこのまま何も言わずに話を聞きましょう。) 悠は黙ったまま良仁の話を聞くことにした。 良「会長は私が彼女と結婚すると伝えたら喜びましたよ。『珍しく良い働きをしたわ。これであの土地はうちがもらったも同然だわ。』と。」 悠「でも、土地には手を出さないというのが莉子さんが結婚を承諾するにあたっての条件でしたよね?」 良「はい。会長がそう言った後、すぐに『いえ、あの土地には手を出しません。彼女はリンゴ園がなくなることを嫌がってますから。』と言ったんです。そうしたら、罵声の嵐でしたよ。まぁ、あの人の言う事なんて気にしていないんですけどね。それよりも、いくら私の会社が手を出さないようにしていても莉子の実家は色々な企業に狙われていることが問題でした。」 良仁はそこで一度話を停め、鞄から何か資料を取り出し、悠の前に置いた。
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